東京大学教養学部附属教養教育高度化機構 D&I部門
2024年度 Sセメスター
形 式:講義
科目名:人種とジェンダー
テーマ:脱植民地主義と性の政治
差別とは何か。レイシズムや〈ヘテロ〉セクシズムとはいかなる権力で、どのように相互に作用しながら私たちの生きる社会を形成してきたか。授業では、レイシズムや〈ヘテロ〉セクシズム、それらに関連する重要な概念について確認したうえで、東アジアを事例に、帝国主義/植民地主義と性の政治の交差について学びます。これらをとおして、受講生には脱帝国主義/脱植民地主義のプロジェクトへの参与を促します。
形 式:演習
科目名:インターセクショナリティ概論
「インターセクショナリティ(Intersectionality)」をテーマに、それに関連するさまざまな分野・領域の学術論文や単行本、エッセイ等(日本語・英語)を輪読してディスカッションをします。これらをとおして、単一的で普遍的な「主体」を想定したりシングル・イシューの政治を志向したりするのではなく、さまざまな権力関係がいかに相互に連関し合っているかを認識し、社会正義を実現するためのラディカルな思考力を養います。
福永 玄弥(FUKUNAGA Genya)
メールアドレス:genya.f.mail[a]gmail.com
([a] を @ に変えて送信して下さい)
専門はフェミニズム・クィア研究、社会学、地域研究(東アジア)。植民地主義・冷戦体制と性の政治をテーマに、研究を進めています。授業に関連する論考として、「男たちの帝国と東アジア」(『エトセトラ 特集 男性学』vol. 10 所収)や Queer politics and solidarity: Post–Cold War homonationalism in East Asisa(Beyond Diversity: Queer Politics, Activism, and Representation in Contemporary Japan 収録)等があります。
オフィスアワーは木曜4限(101号館017室)です。事前にメールで予約してください。
形 式:講義
科目名:フェミニズム科学論
テーマ:フェミニズムと科学的言説の接続
科学的な知の生産に対するフェミニズムの視点からの介入を、女性科学者の歴史的な位置づけ、生殖技術の発展、「怪物」の表象とセクシュアリティ、エイズ危機に見られるような感染と他者化をめぐるメタファーの問題、人新世などの新たな思想的潮流との接続といった多様な観点から取り上げます。
飯田 麻結 (IIDA Mayu)
メールアドレス:シラバス参照
専門はフェミニズム理論とメディア・スタディーズ。Goldsmiths, University of London, Department of Media, Communications and Cultural StudiesでPhDを取得。科学知におけるメタファー、情動とエンボディメントといったトピックを中心に研究・翻訳を行っています。駒場キャンパスでは「ジェンダー論【人文学】」という授業をSタームに担当しています。オフィスアワーに関しては、各授業のITC-LMSのページをご参照ください。
形 式:講義
科目名:性の政治Ⅰ
テーマ:クィア理論
この講義では、フェミニスト・クィア・スタディーズにおける基本的な概念やトピック、議論を概観します。その際とりわけ、文化的差異の相互的重なりに注目する、インターセクショナルな分析の重要性に焦点をあてます。
このような学びを通じて、ジェンダーやセクシュアリティが私たちの生活にいかに密接に関わるかを理解し、フェミニスト・クィア・スタディーズの視座から文化的事象を分析できるようにすることが授業の目的です。
羽生 有希 (HANYU Yuki)
メールアドレス: feminism.and.deconstruction[a]gmail.com
([a]を @ に変えて送信して下さい)
はじめましてもしくはこんにちは!私の専門はクィア理論とフェミニスト哲学です。差異を主張しながら同時に差別の解消を訴えていく社会運動、とりわけジェンダーやセクシュアリティに関するそれの難しさと面白さに惹かれて研究を続けています。最近は、専門というわけではありませんが、アセクシュアリティ・スタディーズもしくはエース・スタディーズに関心を持っています。授業で皆さんにお会いできるのを楽しみにしています!(授業は連続での受講を想定していますが、単発での聴講も可能です)
形 式:講義
科目名:性と身体Ⅰ
テーマ:フェミニズム障害論
フェミニズム障害論というはじめての授業です。障害/障害者に関わる問題を、障害をもつ個人の側からではなく、社会の側の課題として捉える同時に、その社会の側の課題のなかに、ジェンダー、とりわけ、現代社会のなかで構造的に女性たちが抱えることとなってきた課題を読み込み、障害とジェンダーの交差地点で起きてきた問題を捉える視点を獲得することを目指します。テーマとしては、「優生保護法」、「複合差別/交差性差別」を取り上げます。
瀬山 紀子 (SEYAMA Noriko)
メールアドレス:nseyama[a]mail.saitama-u.ac.jp
([a]を @ に変えて送信して下さい)
埼玉大学ダイバーシティ推進センター教員。専門・社会学/ジェンダー論。DPI女性障害者ネットワーク・メンバー。障害者自立生活センター所属介助者。共著書に、『障害者介助の現場から考える生活と労働 ささやかな「介助者学」のこころみ』(杉田俊介・渡邊琢・瀬山紀子共編、明石書店、2013)、『往き還り繋ぐー障害者運動於&発 福島の50年』(生活書院、2019)、『障害があり女性であること : 生活史からみる生きづらさ』(土屋葉編、現代書館、2023)。エッセイ「介護・介助の時間」
形 式:演習
科目名:トランスジェンダー研究を読む
トランスジェンダーは、通り一遍の知識で語ると表面的な事柄を反復するだけで終わってしまいますが、歴史的な文脈と当事者のリアリティを理解していれば、驚くほど豊かな仕方で語り、議論することもできます。このゼミ形式の授業では、トランスジェンダーの人々が書いてきた論文やエッセイを読むことを通じて、医療、法律やフェミニズムとの関係でトランスの人々がどんな課題に直面し、どんな対抗的な言論を展開してきたのかを学びます。
(執筆:TF山田)
清水 晶子 (SHIMIZU Akiko)、
山田 秀頌 (YAMADA Hidenobu)
メールアドレス:非公開
山田 秀頌(ティーチング・フェロー)
駒場の大学院生です。トランスジェンダーの身体やアイデンティティに関する英語圏の理論的展開をふまえつつ、日本におけるトランスジェンダーの生についても考察しています。いま博士論文を書くためにキャンパスに通っているので、見かけたら仲良くしてください。最近の論文としては、「可視化か不可視化か:トランスジェンダーのパスの経験におけるジレンマ」(『現代思想』2021年11月号)など。
*各授業の開講曜限・教室等の詳細はシラバスをご参照ください。
2024年度 Aセメスター
形 式:講義
科目名:ダイバーシティと法
テーマ:国際人権法とLGBTQ
2011年に国連は性的指向・性自認に関する人権保障の強化を決議しました。現在、同性同士でも婚姻できる国がある一方、同性同士の親密な関係性を理由に刑事罰が科される国もあります。役所への届け出だけで性別記載が変更できる国もあれば、警察や市民による外見上の性別を理由にした暴力や嫌がらせが野放しの国もあります。この授業では国際人権法の歴史や制度を学びつつ、多様な性のあり方に関する法政策の課題を考えます。
谷口 洋幸(TANIGUCHI Hiroyuki)
メールアドレス:非公開
専門は国際人権法・ジェンダー法。ジェンダー/セクシュアリティに関する人権保障のあり方について、主にLGBTQをテーマに研究中。
形 式:講義
科目名:社会正義論
テーマ:思想としてのパレスチナ
2023年10月7日に始まるイスラエルによるパレスチナのガザ地区に対する攻撃——人類史上初めて世界に生中継されながら実行されたジェノサイド——は、普遍的人権や民主主義といった美名のもとに隠されていた現代世界の実相を、世界の市民の前に可視化させました。歴史の諸矛盾が凝集するパレスチナというトポスについて思想的かつ根源的に考えることを通して、パレスチナの恒久平和はいかにして可能となるのか、そのために私たちは何をなすべきなのか、何ができるのかをともに考えます。
岡 真理(OKA Mari)
メールアドレス:mari.oka[a]waseda.jp
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専門は現代アラブ文学とパレスチナ問題(ですが、パレスチナの現状が、私に翻訳や文学研究に専心することを許してくれません)。学部生時代にパレスチナ人作家ガッサーン・カナファーニーの作品集を読み、アラブ文学とパレスチナ問題に出会い、以来、パレスチナ問題を現代世界に生きる人間の思想的課題として考え続けています。ジェノサイドの只中において、「文学」が、「文学のことば」が、必要とされていると思います。そのような思いから、2009年より、学生・市民有志による「平和を目指す朗読集団 平和を目指す朗読者たち」を主宰し、ガザをテーマとする朗読劇の上演活動をおこなっています。
形 式:講義
科目名:性の政治Ⅱ
テーマ:フェミニスト国際政治経済学
日本政府が最近ジェンダー平等に前向きな態度を取り始めている背景に、グローバル市場や他国の評価があることは多くの方がお気づきだと思います。冷戦後グローバル・ガバナンスの中でジェンダー平等は多様なアクターに共有される共通の規範として確立されてきました。しかしそこで見落とされていることはないのでしょうか。この授業では、国境を超える社会関係としてのグローバル資本主義と国際政治におけるジェンダー化された権力を問うてきたフェミニスト議論をたどり、フェミニズムを「資本主義の侍女」として組み込む動きに対してどのような抵抗が可能かについても考えていければと思っています。
本山 央子(MOTOYAMA Hisako)
メールアドレス:h-motoyama[a]nifty.com
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大学学部生の時に、戦後日本の発展と「アジア」「女性」について問う市民運動と出会い、開発・平和・ジェンダーに関するNGO活動に関わってきました。2015年からはしだいに社会運動から研究の方へと軸足を移しており、現在はグローバル・ガバナンスと外交、フェミニズムを中心に研究を行っています。
形 式:演習
科目名:脱植民地主義と性の政治
帝国主義・植民地主義に対して批判的な介入を試みてきたフェミニズムやクィア研究の重要な文献(主に東アジアの地域を対象とした日本語・英語の論文)を輪読します。文献の輪読と発表、ディスカッションを中心に授業を進めますが、授業内外のさまざまな学習に対して積極的に参加する姿勢を求めます。なお、この授業を履修するにあたっては、Sセメスター開講の「人種とジェンダー」を事前に履修することを推奨します(必須ではありません)。
形 式:演習
科目名:「Diversity&Inclusion」再考
「ダイバーシティ/ Diversity&Inclusion」の取り組みは、国連が推進するSDGsや、近年のフェミニズムや性的マイノリティの人権課題に対する関心の高まりと親和性が高いように見える。だが、そもそも「多様性の包摂」とは、これを推進する国家や組織に対して、いかなる変化をもたらす、あるいは伴うプロジェクトなのか。授業では「D&I」をめぐる近年の国内外の動向や問題を検討したうえで、社会正義を追求するための「D&I」というアプローチを模索する。
福永 玄弥(FUKUNAGA Genya)
メールアドレス:genya.f.mail[a]gmail.com
([a] を @ に変えて送信して下さい)
専門はフェミニズム・クィア研究、社会学、地域研究(東アジア)。植民地主義・冷戦体制と性の政治をテーマに、研究を進めています。授業に関連する論考として、「男たちの帝国と東アジア」(『エトセトラ 特集 男性学』vol. 10 所収)や Queer politics and solidarity: Post–Cold War homonationalism in East Asisa(Beyond Diversity: Queer Politics, Activism, and Representation in Contemporary Japan 収録)等があります。
オフィスアワーは木曜4限(101号館017室)です。事前にメールで予約してください。
形 式:演習
科目名:サイバーフェミニズム
テーマ:フェミニズムと科学的言説の接続
サイバーフェミニズムの歴史的な隆盛とその代表的な作品・プラットフォームを参照した上で、https://cyberfeminismindex.com/ に掲載された文献に関する学生の発表を中心に、ディスカッション形式で授業を行います。(この授業を履修するにあたっては、Sターム「フェミニズム科学論」を事前に履修することを推奨します)
飯田 麻結 (IIDA Mayu)
メールアドレス:シラバス参照
専門はフェミニズム理論とメディア・スタディーズ。Goldsmiths, University of London, Department of Media, Communications and Cultural StudiesでPhDを取得。科学知におけるメタファー、情動とエンボディメントといったトピックを中心に研究・翻訳を行っています。駒場キャンパスでは「ジェンダー論【人文学】」という授業をSタームに担当しています。オフィスアワーに関しては、各授業のITC-LMSのページをご参照ください。
形 式:演習
科目名:フェミニスト/クィア障害学
この演習では、性の政治とディスアビリティの政治を、両者の並列的な類似性ではなく、重なり合いや交錯、衝突、交渉に焦点をあてて考えます。フェミニスト・ディスアビリティ研究やクィア・ディスアビリティ研究の重要文献の講読を通じて、性の規範や政治をディスアビリティの視点から批判的に考察できるようになることを目指します。
井芹真紀子(ISERI Makiko)
メールアドレス:非公開
専門はフェミニズム/クィア理論、ディスアビリティ・スタディーズです。今年度はKOSSの運営だけではなく、Aセメの演習授業も担当することになりました。KOSSにはD&I科目に関連する蔵書があり、専門の院生スタッフや関心の近い仲間がいます。気軽に遊びに来てくださいね。